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監修:みずほフィナンシャルグループ大阪健康開発センター 所長 廣部一彦 先生


一般的に女性のLDLコレステロール(LDL-C)値は40歳代後半から上昇し、閉経後に男性を抜いてその後は男性より高値を持続します(図1)。女性のHDLコレステロール値は高いことが多く、総コレステロール値が高くても、LDL-Cが必ずしも高値とは限りません。
したがって、コレステロールの判定は必ずLDL-Cで実施することが必要です。閉経前の女性では冠動脈疾患(CAD)の相対リスクのみならず絶対数自体がわが国では極めて少なく、またよい生活習慣により女性においてもCADの発症を半分以下に減らせることが米国のコホート研究からも示されています1)。こうしたことから、動脈硬化性疾患予防ガイドライン2007年版では閉経前の女性における脂質異常症に対して、生活習慣の改善を優先的に行うことを推奨しています。ただし、閉経前であっても家族性高コレステロール血症や二次予防、また、脂質異常症のほかに耐糖能異常、高血圧、喫煙などの複数の危険因子を合併する場合は、個々の患者に応じて、薬物療法の併用も検討します。
一方、女性のCAD発症リスクは閉経後に高まり、その後、高齢期にかけて増加し続けます2、3)( 図2)4)。また、女性における血清総コレステロール値とCAD発症の関連性についても男性よりやや弱いものの相関があることが示されています5)。したがって、閉経後女性の脂質異常症では、まず生活習慣の改善が推奨されますが、危険因子を十分勘案して薬物療法も考慮します。一次予防に関するわが国の薬物療法のエビデンスとして、MEGA Studyの女性に関するサブ解析の結果では、55歳以上の女性における「CAD+脳梗塞」のハザード比は0.63であり、HMG-CoA還元酵素阻害剤(スタチン)治療群で発症率に有意な低下が認められています6)。また、二次予防に関しても、いくつかの試験結果から7)、女性でも男性と同じく適切な脂質低下療法が有用と考えられます。
現在、わが国においては女性のCAD発症が欧米に比べてかなり少ないことは事実ですが、食生活の欧米化と運動不足、また女性の喫煙率の増加など懸念材料が増えつつあります。また世界一長寿で高齢化が一段と進むことを考えると女性においても若い段階から生活習慣の改善を指導し、動脈硬化の危険因子を少しでも減少させる努力が極めて重要と考えられます。
| 1) | Stampfer MJ, et al:N Engl J Med 343(1):16, 2000 |
|---|---|
| 2) | Castelli WP:Am J Med 76(2A):4, 1984 |
| 3) | 心疾患-脳血管疾患死亡統計の概況:人口動態統計特殊報告 厚生労働省人口動態保健統計課 2006年3月9日発表 |
| 4) | 山田 信博ほか編:高脂血症ナビゲーター. p276, メディカルレビュー社, 2004 |
| 5) | Wakugami K, et al. Jpn Circ J 62(1):7, 1998 |
| 6) | Mizuno K, et al:Circulation 117(4):494, 2008 |
| 7) | Walsh JM, et al:JAMA 274(14):1152, 1995 |
図1 加齢に伴うLDL-C値の変化(日本人の血清脂質調査:2000年)
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| (Arai H, et al:J Atheroscler Thromb 12(2):98, 2005 より作図) |
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| (山田 信博ほか編:高脂血症ナビゲーター. p276, メディカルレビュー社, 2004 より作図) |